投稿日:2024.10.16
第31回美濃和紙あかりアート展上位入賞作品
第31回美濃和紙あかりアート展
今年の上位入賞作品を写真とともに紹介します!
【一般部門】
〇美濃和紙あかりアート大賞〇
No.18 名倉 奈央子
作品名「夢の中へ。」
審査講評
有機的な形が多く見られる応募作品の中でも、限りなくシンプルな造形が目を引いた。
実際の枕同様に縫製され、ふっくらとした布の質感を感じる仕上がりも魅力となっている。
さまざまな和紙を使用し、光源を感じさせないよう繊細な工夫が施され、タイトル通り、
夢の中へ引き込まれるような完成度の高い作品である。(高橋)
〇美濃和紙あかりアート賞〇
No.59 太田 千明
作品名「和」
審査講評
竹ひごと和紙との編み込みで美しいフォルムをつくりだしている。
また竹ひごの影と和紙により創り出される陰影から、美濃和紙の美しさが引き出されている。
上部の竹ひごの束ね方や、和紙の継ぎ目の位置なども工夫すると、さらに洗練された作品となったのではないかと感じた。(柴﨑)
〇美濃和紙あかりアート賞〇
No.78 片桐 敏雄
作品名「颯佑」
審査講評
動物の具体的な造形に対して、和紙を使った質感の表現にたいへんな工夫がある。
毛並みや尾の質感を分け、和紙の柔らかさや温かみを感じさせるとともに、和紙を
撚ることによる強さや硬さも表現されている。
透光性は和紙独自のものであり、布やフエルトでは光を透過しないため、和紙独自の
表現といえる。
おそらく愛犬をモデルにしていると思うが、愛情が感じられる作品である。(堀木)
〇ライトアップ賞〇
(古川秀昭賞)
No.133 イソノ レイコウ
作品名「物語 ガ 始マル」
審査講評
和紙の柔らかさを競う大きな傾向にあってこの作品は珍しく固定された形体と
ハンドエッジのカッティングに他に見られない新鮮味がある。
底辺の部分では逆に和紙の柔軟なシワの柄も美しい。
〇ライトアップ賞〇
(堀木エリ子賞)
No.175 倉橋 豊
作品名「彩雲」
審査講評
立体的なパーツである三角柱と、平面的なパーツを組み合わせており、少し彩りが感じられることもおもしろい。
ベースに金属の風のシートを使い、遊び心のある組み合わせで映り込みを意識して彩雲を
表現している。ものづくりの楽しさが伝わる作品で、好感が持てる。
〇ライトアップ賞〇
(高橋理子賞)
No.81 金城学院大学 翼
作品名「母」
審査講評
どこまでも広がって行くような力強さに目を奪われた。
造形的にも大変バランスが良く、神秘的で美しい。
和紙の柔らかさとしなやかさの中に、荒々しい強さも共存させており、そのコントラストが大変印象的な作品である。
〇ライトアップ賞〇
(柴﨑幸次賞)
No.79 中木 智恵美
作品名「命のゆりかご」
審査講評
落水紙を使用し鱗のようなグラデーションを重ね、丸い立体として仕上げた作品。
和紙の重ね合わせのグラデーションと焦げ色グラデーションが美しい。
美濃の町並みを生かすあかりのことを考えると、もう少しサイズが大きくてもよかったのかと感じた。
❁一般部門 総評❁
なんといっても和紙の魅力は力強い。
今回も4人の審査員の活発な意見交換で受賞・入賞が決まった。
美濃和紙あかりアート大賞・美濃和紙あかりアート賞の3賞は全く異なる和紙の表情が楽しい。(古川)
【小中学生部門】
〇中学生部門大賞〇
No.539 長屋 優芽(美濃中学校)
作品名「夜を彩る蝶」
審査講評
水晶を割ったら中から蝶が出てきた様な、これまでにない作品である。
和紙の選び方もプリズムの光のようで感心した。(橋田)
〇小学生部門大賞〇
No.695 山下 劉樹(城山小学校)
作品名「龍」
審査講評
光を通した色とりどりの和紙の重なりの魅力を存分に生かした龍が出現!
しずく状にした紙を細かな作業でつなげた鱗の再現も見事である。
赤い目がまっすぐこちらを見、長いヒゲをなびかせ、力強く優しい姿に心が守られるようだ。(日比野)
〇小中学生部門賞〇
(橋田裕司賞)
No.666 吉田 咲羽
作品名「光の海」
審査講評
ペットボトルに光が当たって、そのもようが和紙に映るというのが、うまく水を表現していると思う。
和紙を工夫したり、光源を透明に変えたりするともっとよくなりますよ。
〇小中学生部門〇
(松井勅尚賞)
No.659 鈴木 心彩
作品名「毎日」
審査講評
先ずは、「毎日」というタイトルに惹かれ、ジッっと立ち止まり考えてしまった作品。
よく見ると太陽と雨、雲、雷そして虹などが表現されており、日々の天候を通して毎日を表現したのだろう・・
さらに赤い色は猛暑の夏を表現したのか?と感心した。
裏側から見ると、ようやく赤いランドセルであることがわかり、日々通学に使う道具を題材とする視点にさらに感心した。
毎日毎日赤いランドセルを背負って通学する作者の姿が心に浮かび、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出し、ストーリー(物語)を感じることができる素晴らしい作品である。
〇小中学生部門賞〇
(日比野光希子賞)
No.657 松田 結愛
作品名「ホタルブクロ」
審査講評
お花の姿をあかりに。
夢の中の景色のようで素敵。
お花を包む葉の様子も心地よく、あかりを広げてくれている。
❁小中学生部門 総評❁
近年稀に見る多くの作品が集まったことに感謝します。
小学生部門はもとより、今回は中学生部門に、今までとは少し違う多様性を感じた。
主体性と言って良いかもしれない。
そんな中、「何を表現するのか?」興味深く審査することができた。
以前、戦時下の日本の子供たちの絵を拝見することがあり、“戦艦と旗を振る子ども”が描かれていました。ニュースで流れる、ウクライナやガサなどから送られてくる映像は悲惨な状況であるが、何の制約も受けず自由に表現できる幸せをあかりアート展会場で皆さんと共有したいと思う。(松井)